Raison d’être

電脳硬化症気味な日記です。まとまった情報は wiki にあります。

2003.12.24 (Wednesday)

at 18:36  

今、グリッドが必要か?   [散文・小論]

 最近、大手ベンダーさんは我先にと「グリッド」を叫んでいる。しかし、それが一体誰の為になるんだろう?

 ベンダーや技術者の身になって考えてみれば、このムーブメントは理解できる。つまり、Webサービスの次を見ているのである。Webサービスに見切りをつける理由は2つ。

 そして飽和した小さい市場を脱し、次に見つけたのがグリッドだったわけだ。

 グリッドの技術はベンダーと技術者を満足させているようだが、それは限りなく自己満足に近い物ではないかと思う。現状、ほとんどのユーザさんは、その本当の価値を享受できるとは思えないからだ。その理由はWebサービスの普及しない理由とほぼ一致すると思う。
 Webサービスの足枷は、「すてきな未来像は描けるが、その実現のためには、『現状のシステム設計やビジネスモデルからのの脱却』という大きな壁とリスクとコストを伴う」ということである。一時は「既存のシステムを連携させる」などと語られていた事もあったが、今、その幻を追うものはいない。結局、小規模なラッパーを作るだけでは、Webサービスのメリットは生かせない。システム全体、あるいはビジネス全体を見通した設計が必要なのだ。
 そうなった場合のコストとリスクは尋常なものではない。当然、ユーザは足踏みするだろう。

 グリッド、特にOGSAはその流れにのって、それをさらに助長する。Oracle10gや次期Windows(Longhorn)のHPC機能の方が、より現実解に近いと思えるほどに、OGSAはユーザから遠く感じる。
 ソリューションベンダーとして為すべき事は何か? しっかり見極め、業界の動きを牽制しつつも、自分で解を見つけるべきだ。


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